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天塩川150㎞の旅

左前方に利尻がうっすらと見える
左前方に利尻がうっすらと見える

天塩川は北海道の名河川である。

名寄から河口までの150㎞をシーカヤックで下った。その間に堰堤は一つもない。もっと上流域からとも考えたが、堰堤も多く、舟も変えなければならないだろう。

8月20日の夕方には翌日の宿泊予定地「びふか温泉」まで回送用の車をまわし、食糧等を買い込んで出発準備を整えた。

 

翌21日、早朝より漕ぎ出す。川の流れは速く、川幅いっぱいに流れていて滔々という形容がふさわしい。早瀬やテッシが諸所に現れるが、これが単調さを破ってくれて楽しい。テッシの岩が現れることもなく、かといって荒瀬になるほどでもなく、程よい水量だったのだろう。流れが手伝ってくれて正午を待たず、びふか温泉に着いてしまった。いったん上陸して車を回送し、さら20㎞下流の「天塩川温泉」まで下ることにした。午後も快調に下り、温泉に入ってから河畔でキャンプ。50㎞ほど漕いだことになる。

 

22日、未明に起き、車をゴールの天塩まで回しておいてから出発。尺取虫方式より最初からこうしておくほうが、よほど効率がよかったように思う。瀬はめっきり少なくなるが、流速はあまり変わらないようだ、瀞場のように見えても、休憩で河岸に上がるとその速さが目に見える。松浦武四郎が北海道と命名した記念の地で大休止。対岸を宗谷本線の1両列車が走る。この日は歌内橋上手左岸の気持ちの良い河原に上げてキャンプした。今日も50㎞。

 

23日、早朝、出発。流れはしだいに緩くなり、天塩大橋あたりでほぼ止まる。前方に利尻の鋭鋒が見えるのを喜んだ間もなく、大橋手前3㎞あたりから強い向かい風まで吹いてきた。橋の右岸に着け休憩をとる。行くかやめるか少し迷ったが、残りわずか18㎞である。「行こうや」というⅯさんの一言で、逆風の中を漕ぎ出す、川幅が広く遮るものがないせいか。うねりまで起きている。「海と変わらんじゃん」と悪態をついても耐えて漕ぐしかない、オトンルイ発電所の風車が近づかず、そこを過ぎても遠ざからず、わずかな距離に悪戦苦闘した。山も海も川も、なかなかただでは帰してくれないものだ。右手に砂丘が現れる。天塩の流れが運んできた膨大な量の土砂が造った砂嘴に違いない。川底も浅く、パドルブレードが砂を噛む。この辺りまで接岸できる場所ははほとんどなかった。最後の天塩河口大橋を凱旋門のようにくぐると、河口公園のカヌーポートまで3㎞、風に耐えて漕ぎぬいた。 北海道開発局の天塩川地図が参考になるhttps://www.hkd.mlit.go.jp/as/tisui/vkvvn800000018jy.html